家具の話



家具の話

 無垢材の家具、オーダーメイドの家具、関心はあってもとっつきにくい感じがありますね。ここではLBが作る家具についての基本的なことを知っていただけるようにいくつかのトピックを用意しました。

木の話

木の話

◆針葉樹と広葉樹

 針葉樹と広葉樹って、小さい頃学校の授業で習ったような記憶がありませんか?

 その時習ったのは、針葉樹と広葉樹の違いは読んで字のごとく葉の形状が違うということでした。
針葉樹はとがった葉を持ち、広葉樹は、僕らがイメージする「普通の葉っぱ」の形をしています。

 僕らが家具を制作する時に通常使っているのは広葉樹です。広葉樹は針葉樹に比べて堅く、優れた強度を持っているので家具材に適しています。針葉樹でも、パイン材(外国産の松系です)はよく家具として使われます。カントリー家具といえばパイン材ですよね。

 一般的には広葉樹は家具材、針葉樹は建材、家具屋は広葉樹、大工は針葉樹という感じです。

◆木材の乾燥1

 まず木材を仕入れる時に気にすることは木材がどれくらい乾燥しているかということです。伐採された木がすぐ使える訳ではなく、乾燥したものでないと使い物になりません。

 まずは、伐採後丸太のまま乾燥させます。その後 丸太を板材にわいて、均等に空気が触れるように積み上げ、風通しが良く雨のあたらない場所で乾燥させていきます。これを天然乾燥といいます。ここまでに1ヶ月や2ヶ月ではなく、数年が必要です。その後、天然乾燥させた木材を乾燥機に入れ強制的に乾燥させます。これを人工乾燥といいます。天然乾燥ではなかなか出ていかない水分を強制的に排除するのです。その後、空気となじませる期間をとって、家具材として使える材料になるのです。

 天然乾燥をほとんどせずに人工乾燥させれば、乾燥機期間が短くて済むのでは?と思いましたが、急激な乾燥は、激しい割れや反りなどを発生させ、また内部で割れが発生する原因でもあるようです。できるだけ天然乾燥の期間が長いほうが、狂いの少ない安定した材料になるようです。何ごとも焦らないことが大切です。

◆木材の乾燥2

 木材の乾燥について、できるだけ分かりやすく図解にしてみましたが難しいので興味のある方だけ読んで下さい…。
木材に含まれる水分は、自由水(簡単に木材から離脱できる水分)と結合水(細胞と化学結合している水分)に分けられています。乾燥が始まるとまず自由水が除去されていき、含水率が約30%で自由水はなくなり結合水のみになります。そこから結合水が離脱し始めると、それに伴い収縮が始まり、反りねじれ、ワレ等が生じます。日本の気候だと大体含水率15%ぐらいで落ち着き、あとは、気候により含水率が上がったり下がったりします。
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◆木材の乾燥3

 木材は乾燥の過程で収縮や反り、ヒビ割れが起ります。それらを全部出し切るよう十分に乾燥させ、狂いが少なく安定した木材を家具制作に使わなければなりません。
無垢材の一枚板の天板でひどい割れが入り、大きく反ったテーブルなどを見かけたことはありませんか? これが制作者の意図したデザインでなければ、それは乾燥が不十分なための不具合なのです。

 皆さんがテーブルの天板(一枚板)などを材木屋さんから買う時があれば、どれくらい乾燥しているかをしつこく聞いて買うことが大切です。購入後にひどい反りや割れが発生し、使えないということもあるかもしれません。人工乾燥で良く乾燥させてあるものがあれば、それを購入するのが確実かもしれないですね。

◆木材の性質

 よく乾燥し安定した木材でも湿度によって木は伸縮します。 梅雨時期の湿気が多い時期は膨張し、冬場の乾燥した時期には縮みます。よく乾燥した木材ではその伸縮はわずか数%ですが、それが原因で家具に不具合が生じることは少なくないのです。
例えば、梅雨場に引き出しが開きにくくなったことはないでしょうか?それは、木が膨張したことが原因です。特に引き出しは、精度よく作ることが求められ、そのうえ伸縮のことも考慮してほんのわずかの余裕をみつつ、確認し、鉋で削り、というギリギリの所で制作しますのでそのようなことが起りやすいのです。

 このような木の性質をよく理解した上で家具を作っていかなければなりませんが、そこがとても難しいところでもあるし、無垢材を使うおもしろさでもあります。

◆珍しい樹種

 樹種によって特徴は様々ですが、特に僕が実際みたなかで印象に残っているのは、スネークウッド(多分アフリカ産)と呼ばれていた木です。まさに木目がヘビ柄でヘビが嫌いな僕は、リアルすぎて触るのを躊躇しました。またパドック(多分アフリカ産)という蛍光オレンジ色の木も印象深いものでした。乾燥が進むにつれて、小豆色ぐらいまで変化していきました。世界にはおもしろい木がまだまだたくさんありそうです。

工法の話

工法の話

◆木材の伸縮に対して

 木材は、湿度の変化とともに伸縮するので、家具をデザイン、制作する時そのことをよく頭に入れておかなばなりません。
オリジナルの dining chair 01 を例にとると、座面の部分にスリットが入っていますが、これが木材の伸縮を逃がし、同時にデザインにもなっています。湿気が多い梅雨時期には木材が湿気を吸い膨らみ、スリットの幅が少なくなります。冬場等の乾燥した時期は収縮しスリットの幅が大きくなります。このように伸縮を逃がす構造を基本にして全ての家具を制作しています。伸縮を完全に止めてしまうような構造で制作している家具も見かけますが、想像以上に木材の伸縮の力は大きく、伸縮のストレスでワレなどの故障が発生してくることもあると思います。
dining chair 01

◆無垢の家具とフラッシュ家具

 無垢材の家具とよく対比して取り上げられるのがフラッシュ家具です。フラッシュ家具とは、一般的に芯材(骨組みを想像して下さい)をベニア等で挟み込んで厚みのある板をつくり制作した家具です。

 お客様に「修理をしてほしい」と言われて家具を見に行くとフラッシュであることがよくあります。修理の依頼をされた方のほとんどが無垢材の家具なのかフラッシュの家具なのか見分けがついていないように感じます。御自宅にある家具はどうでしょうか?量販店で売られている家具の多くはこのフラッシュ家具であると思います。

 「フラッシュ家具」=「安物」のイメージがある方も多いかとは思いますが、世界には代々使い続けていただきたいすばらしいフラッシュの家具もたくさんあります。

 しかし、日本の場合、コストの削減や、生産性だけに重点をおかれた製品が多く、フラッシュ家具の持つ可能性は無視されています。フラッシュ家具の特徴としては、伸縮等、無垢材が持つクセがほとんどないので、構造における制約が少なく、デザイン性の高い家具が制作できます。ヨーロッパでみられるような装飾性の高い家具や、北欧のシンプルなデザインの家具にもフラッシュ構造を上手く取り入れデザインし制作されている家具がたくさんあります。

 LBでは、無垢材の家具を制作していますが、きちんとデザインされ、高い技術によって制作された家具は、無垢材であろうがフラッシュであろうがすばらしいのです。

 逆に、単に無垢材(一枚板のような)ということだけを全面に出し販売している家具こそ疑わしいのです。

塗装の話

塗装の話

◆オイルフィニッシュ

 LBで主に行っている塗装はオイルフィニッシュです。

 オイルフィニッシュとは、植物性の乾性油を、木材に浸透させ、耐久性を上げるという塗装法です。この塗装法は、塗膜をほとんどほとんど形成しないため、木の持つ本来の美しさを引き出し、自然な仕上がりになります。

 近年、日本ではエコという観点からこの塗装法に注目が集まっていますが、オイルフィニッシュの長所、短所をよく理解した上で家具に行う塗装法を決定されることが大切だと思います。LBでは、木の持つ本来の良さを引き出せるオイルフィニッシュをお勧めしております。

 ただしオイルフィニッシュは塗膜をほぼ形成しないため、ウレタン塗装(量産家具などによく見られるものです)などに比べると耐久性に劣ります。具体的には、こぼれた水などを長時間放置しておくとシミの原因になります。

 しかし、オイルフィニッシュはウレタン塗装と違い、メンテナンスが簡単にでき、またメンテナンスをくり返すことでシミなども付きにくくなります。定期的なメンテナンスをしながら家具を御使用頂くなかで、木ならでは味わいと風格が増し、美しい経年変化を見せてくれます。

 ウレタン塗装は強い塗膜を形成するため、耐久性にとても優れていますが、本来木の持つ質感は損なわれ、ピカピカとした偽物のように感じたりもします。メンテナンスは特に不要ですが、10年後20年後の汚く塗装のはげた家具を想像するとどうしても、あまりウレタン塗装をオススメできないのです。

◆いろんな塗装方法

 日本ではあまり行われていない方法で(オイルフィニッシュも外国から入ってきた方法)僕が体験したり見たりしたことがあるものは、ソープフィニッシュ、シェラック塗装、フレンンチポリッシュなどがあります。


ソープフィニッシュ

 固形のせっけんをワックス状にして、すり込んでいく方法です。オイルフィニッシュはぬれ色になるのですが、この方法はより無塗装のような仕上がりになります。

 ただし、手アカ止め程度の耐久性です。はじめこの方法を知った時は何か不思議な感じはしましたが、とても自然な感じに仕上がってLBでも小物類に使うことがあります。

シェラック塗装

 ラックカイガラムシが体外に分泌した樹脂状物質(シェラック)をアルコールで溶かし家具に塗布する方法です。

 仕上がりは光沢に優れ、耐摩耗性などに富んでいます。以前、家具を勉強していたところで、アンティーク家具のコピーを制作してほしいという美術館からの依頼で、この塗装法で仕上げました。オイルフィニッシュに比べると、とても扱いが難しいと感じました。

 ちなみに、シェラックはお菓子(チョコレート)などの光沢を出すためにも使われているみたいです。お酒のカンパリの色もカイガラムシの仲間から抽出したものですね。

フレンチポリッシュ

 僕自身行ったことはないのですが、それも修行時代に友人がやっているのを見ていました。それはシェラックにオイルを少量(分量が良く分からないのですが)混合しながら、家具にすり込んでいっていました。

 すり込んで、乾燥させ、すり込んで、乾燥させという行程を何度もくり返していました。そうして仕上げられた家具の表面は、鏡面仕上のようになり、すばらしい光沢を放っていました。イギリスなどの高級なアンティークな家具にこの塗装方法が良く使われているようでした。

 まだまだいろいろな塗装方法がありますが、漆塗装もおもしろいですよね。湿気によって乾燥するという日本の気候にあった塗装方法で、乾燥したヨーロッパなどにはない塗装方法です。

 湿気があると塗装が乾きにくかったり、ノリの乾きも遅かったりするので、湿気で乾燥が進む漆は何か不思議な感じがします。

メンテナンスの話

メンテナンスの話

◆メンテナンス方法とメンテナンスオイル

 オイルフィニッシュで仕上げられた家具にはメンテナンスが必要です。通常半年に1回程度、テーブルの天板などは1ヶ月に1回または、シミなどが付いた時に行って頂く必要があります。

 シミや軽い傷は、サンドペーパー#320で取り除いた後メンテナンス用オイルを薄く塗布し、30分ほど置いた後、拭き取り磨きあげます。定期的なメンテナンスで、シミなどの汚れが付きにくくなるとともに、美しい質感を保ち、艶も増していきます。

 LBでは、当初、メンテナンス用オイルとして家具を御購入頂いたお客様に、オイルフィニッシュ用のオイルをペットボトルに入れて分けて差し上げていましたが、現在はハワード社のフィーディンワックスをお薦めしております。

 オイルフィニッシュに使われるオイルは、オイルを塗布後、拭き取ったウエス(布)を放置した場合、自然発火するおそれがありました。また乾燥時間も時期によりますが12時間以上と長く、メンテナンスとして手間がかかりすぎるということがありましたが、メンテナンス用のオイルは、乾燥も早く、自然発火のおそれもありません。

 LBのお店の家具もすべてこのオイルでメンテナンスをしています。メンテナンス後の家具の質感や光沢もとても良くオススメです。

◆オイルフィニッシュで注意すること

 オイルの注意事項に、オイルを拭き取ったウエスが自然発火するおそれがあると書いてあります。

 家具づくりを始めて以来オイルフィニッシュを行っていますが、ウエスが自然に発火したことはまだ一度もありません。「本当かな」と思い直射日光のあたる所で放置してみたり(安全な状態で)色々試しましたが残念?ながら自然発火には至りませんでした。

 しかし、僕が以前いた木工所では、一斗缶にオイルなどを拭き取ったウエス(他の塗料を拭き取ったウエスも含む)を溜めていたところ、朝出勤した社員が塗装室のドアを開けた瞬間、一斗缶から火柱が立ち天井まで上った(おおげさかも)という事件があったそうです。

 それ以来、木工所では、たばこなどの規制も厳しくなリ、所構わずたばこを吸っていた大工さんもひっそりと喫煙所で吸うはめになりました。実際、工房で木を扱う僕らは、火事が起ったらおわりなのです。